感想

IMAX版『キャプテン・マーベル』感想 ※ネタバレ注意

 MCUもいよいよクライマックスを迎え、アベンジャーズ/エンドゲーム公開前最後のMCU作品『キャプテン・マーベル』をIMAXにて鑑賞してきましたのでレビューになります。

※映画の概要に関しては以前の記事を確認ください

IMAXとは

 映像・音響・空間の要素を極めた最先端の上映システムがIMAXです。2台のデジタルプロジェクターにより通常の映画よりも大画面かつ鮮明に美麗な2D・3D映像を映し出すことを可能にしています。独立した5つの音声チャンネルにより立体的かつ理想的にコントロールされた音響を全座席で味わう事ができます。劇場で体感すれば間違いなく感動することができるほどの高レベルな映像と音響であり、何故映画館へ足を運びたくなるのかの答えがそこにあります。

IMAX版キャプテン・マーベルは期待通りの映像美

 キャプテン・マーベルは宇宙規模のヒーローであることを事前に知っていたということも有り、宇宙のシーンやCGが多くなりそうだと思ったのでIMAXで視聴しましたが、期待通りの映像美を体験することができました。特に映画の最初はクリー星から物語が始まり、未来的な演出や宇宙船、宇宙空間等のCG表現が全開なのでIMAXの3D効果をフルで味わうことができます。その他にもキャプテン・マーベルの象徴的な能力であるフォトンブラストの表現や彼女の戦闘シーンでも存分に映えるので、キャプテン・マーベルのIMAXは期待通りの良さでした。

『キャプテン・マーベル』評価

 キャプテン・マーベルの評価は正直な話、見方によってかなり分かれるというのが率直な感想です。人によって映画に期待するポイントが違うかと思いますので、単独作品・ヒーロー作品としての二面性で映画を評価したいと思います。

単独作品としてのキャプテン・マーベル

 キャプテン・マーベルというヒーローをうまく表現した作品と言う意味ではキャプテン・マーベルは間違いなく単独作品として十分に楽しめる作品だと思います。

 特に今回はサスペンスフルアクションと公式で謳っている通り、彼女の謎に包まれた記憶を敵味方入り混じる辿っていく物語はスクラル星人が他人に変身することが出来るというのを最大限活かしたこともあり、驚きもあり面白いものになっていました。
※ネタバレ要素が強いのでここでは深くは触れません

 他のMCU作品を知らなくても『キャプテン・マーベル』を楽しめると言う意味でも、圧倒的な力を表現できたと言う意味でも間違いなく成功しています。

ヒーロー作品としてのキャプテン・マーベル

 ヒーロー作品としてキャプテン・マーベルは面白いのか?というのが最大の論点になるかと思います。これは好みの問題もありますが、キャプテン・マーベルは強すぎるのが人によっては逆につまらなく感じるかもしれません。
 
 特に今作はキャプテン・マーベルにライバルらしいライバルがおらず、終盤は覚醒したキャプテン・マーベルの無双状態をひたすら見ることになります。

 個人的な意見としてはヒーロー作品はアクション映画なので、もっとも重要な要素はヒーローの独特な力を主体にしたアクションだと思っている訳ですが、彼女が強すぎるため能力を開放してフォトンブラストを放てば相手が吹っ飛んですぐに倒せると言う単純な絵面で終わってしまうんですね…。

 せめてキャプテン・マーベルに匹敵する強力なヴィランが居てくれれば単調ではなく深みのある熱い戦いが見れたのかなと思わずにはいられません。

政治色を感じてしまう作品

 今作はMCU初の女性主人公ということもあり、女性に関する社会問題についてやクリー帝国をアメリカに見立ててマイノリティに対する問題についても伝えようとしていました。

 政治的な話は論じてもしょうがないので詳細は触れませんが、上記を踏まえながら映画を見ると少し思う所があるかもしれません。女性に関する問題についてはツッコミどころもあるため描写がうまいとは言えませんでしたが…。

騙された!まさかのストーリー ※ネタバレ注意

 クリー星で寝ているキャロルは悪夢(記憶を失う瞬間の光景)にうなされ目覚め、上官のヨン・ロッグと格闘訓練を行います。厳しい格闘訓練中にキャロルが感情に任せてフォトンブラストを放ったりと戦士として未熟だと叱られます。

 訓練を終えるとクリー帝国の支配者とも言えるA.Iスプリーム・インテリジェンスに会いに行きます。このスプリーム・インテリジェンスは見るものがもっとも信頼・尊敬する者の姿で現れる様になっていて、記憶を失くしたキャロルは全く知らない女性が出てきて困惑します。そこで、A.Iと対話し特殊部隊の一員として任務に参加することを許可されます。

 任務はクリー人と敵対関係にあるスクラル人が占拠した惑星でスパイ活動をしている同胞を救助するという内容でした。スターフォースの面々が宇宙船に乗り込みいざ目的地の惑星に向かいます。

 惑星に到着し、目標の人物のシグナルを辿っていくと現地民に返信したスクラル人との戦闘が始まり、目標人物に一人で近づいたキャロルがスクラル人の変装に騙され捕まってしまいます。

 スクラル人の宇宙船でキャロルの記憶を解析する将軍タロス、どうやら彼女の記憶の中に戦争終結させるとある道具のヒントが隠されているようで、その所在を知るためにキャロルを狙っていたことが判明する。記憶を解析される中で、キャロルは地球で暮らしていたときの軍人としての失った記憶の一部を見ることになります。その記憶の中にスプリーム・インテリジェンスが見せた知らない女性の姿が映し出され意識を取り戻します。

 超人的な能力で宇宙船に風穴を開け撹乱し、脱出ポットで逃げて地球のCDショップに不時着してしまいます。朝になり、電話ボックスと戦闘スーツを連携させスターフォースと通信をとり救助要請することに成功するキャロルだったが、住民の通報でやってきた特殊操作組織シールドのニック・フューリーやコールソンに見つかり連行されそうになります。

 そこにキャロルと同様に地球に上陸した、地球人に変装したスクラル人からの襲撃を受ける。キャロルのフォトンブラストを何とか回避して逃走するスクラル人。キャロルとスクラル人の攻守一転の追走劇が繰り広げられます。超人的な動きのキャロルに驚きを隠せないニック・フューリーはコールソンと車で追いかけます。

 途中でコールソンがスクラル人だということに気づき攻撃されピンチに陥るも、交通事故を利用しなんとかスクラル人を倒すことに成功するニック・フューリー。宇宙人をシールドに持ち帰り解剖し、ここで始めて宇宙人が実在し地球が驚異にさらされていることに気づきます。そして、フューリーの上官が既にスクラル人に入れ替わっていることが視聴者に明かされます。
※本物のコールソンは車に乗り込む前に置いていかれているだけなので生きています

 一方でスクラル人を見失ったキャロルは、スクラル人に捕まったときに観た記憶を頼りにある米軍の施設(基地)を目指します。途中で頭を刺激する思い出の店に入ると先回りしたニック・フューリーと出会い、現状を説明し対スクラル人の仮の協力関係を結びます。

 基地に無事に辿り着くが、何故か現地の司令官に部屋に閉じ込められる二人。フューリーのテクニックにより難なく指紋認証式ロックを解除し、お目当ての資料室に向かうが、途中で最高にかわいいトラ猫のグースに出会いメロメロになるフューリー、キャロルに早くしてと促され資料室に辿り着き、資料をみて過去を辿るキャロル。ここでフューリーがシールドの仲間に連絡しキャロルを捕まえる手配をしてしまいます。

 キャロルが資料を読むとインテリジェンスに見せられた女性の姿やクリー語で書かれた資料を見つけ、女性がクリー人でということが判明する。そのタイミングで基地にシールドが到着し、キャロルを捕まえようと部隊を展開してきます。一方でフューリーは上官と合流するも、上官が自身をフューリーと呼ばないことからスクラル人の変装であることを見抜き格闘戦を挑む。負けて殺されそうになるとキャロルが颯爽と登場しフューリーを救助して逃走を開始。輸送機を使い逃走する。

 輸送機を発信させ空に出ると、グースが機内に紛れ込んでいることが判明し、フューリーは引き続きメロメロで可愛がる始末。女性の正体をはっきりさせるために昔の空軍時代の同僚で友人だったマリア・ランボーに会いに行くことに。

 マリアと再開し色々な話を聞くも自分の記憶を完全に取り戻せないキャロル。そんな中、スクラル人の将軍タロスが来襲し、マリアの娘を人質にし対話を申し込んでくる。キャロル達はタロスとの対話の中で衝撃の事実をしることになる。実はクリー人が一方的にスクラル人を攻撃してきていること、スクラル人は平和を望んでいること、そして謎の女性がマー・ベルという女性で戦争を集結させるライトエンジンを地球で作っていたこと。

 ここで始めてキャロルの本当の敵がクリーであることが判明し、記憶を取り戻すキャロル。そして物語の核心にせまる回想が始まる。
 
 マー・ベル博士からクリーや宇宙のことを聞き、ライトエンジンのテストパイロットにに選ばれるキャロル。二人でエンジンのテストを兼ねたテスト飛行の最中にスターフォースのヨン・ロッグに襲われ不時着してしまう。

マー・ベル博士がクリーにライトエンジンを奪われないように破壊しようとするもヨン・ロッグに殺されてしまう。その後、博士の代わりにライトエンジンを破壊したキャロルだったが、破壊した際のライトエンジンの莫大なエネルギーを体に受け圧倒的な力を得る。しかし、キャロルが気絶している隙きに回収されクリーに都合のいいように記憶を奪われ使われていた事実が判明する。

 その頃、キャロルが記憶を取り戻した事実に気付いたヨン・ロッドは惑星爆撃部隊を率いるロナンにスクラル人が紛れ込んだ地球を爆撃する要請を出す。

 全てを思い出したキャロルは、スクラルの将軍タロスとフューリー、マリアと協力して博士の残した座標に向かうことに。全員でスクラル人が改造した輸送戦闘機に乗り込み博士の宇宙船に乗り込むとそこにはライトエンジンの膨大エネルギーの元になった四次元キューブを発見する。四次元キューブはフラーケンという生物だった猫のグースが食べてしまう。

 そんな中、謎の音が宇宙船に響きぞろぞろとスクラル人の女子供が現れる。困惑するキャロル一同だったが、博士がクリーの手から救うために宇宙船に匿っていたスクラル人であることが判明する。将軍タロスの妻子もその中におり、タロスは戦争終結の他に妻子と同胞を救うためにキャロルの記憶を狙っていた事実がここで判明する。

 和気あいあいとするなか、宇宙船にスターフォースが襲撃。怒りのキャロルの圧倒的な力で敵となったかつての同僚を蹴散らす。しかし、隊長であるヨン・ロッグらの攻撃に手間取り脱出する味方と離れ離れになり、味方はピンチになる。結局は覚醒したキャロルにより逃げたヨンロッグ以外のスターフォースは壊滅する。(生死は不明)

 爆撃艦隊を率いるロナンが地球に到着し、地球に向けて大量の爆弾を投下するも、覚醒したキャプテン・マーベルが全てを破壊する。そして爆撃艦隊の宇宙船を飛行しながらの体当たりだけで数隻破壊するという圧倒的パワーを見せつける。「あの女をいつか手に入れる」と宣言し、逃げ帰るロナン。地球の危機を難なく救うキャロル。

 そして最後に地球に逃げたヨン・ロッグとの一騎打ちが始まる。キャロルの圧倒的力を目の当たりしたヨン・ロッグはキャロルに卒業試験だと言わんばかりに真の軍人について問い、格闘戦を申し込む。しかし、キャロルはフォトンブラストでヨン・ロッグをドラゴンボール並に吹き飛ばし石に叩きつけ倒してしまう。宇宙船にヨン・ロッグを乗せ、スプリーム・インテリジェンスに戦争は私が終わらすと伝えてといいクリーに送り出して戦いは終わる。

 最後にニック・フューリーにインフィニティ・ウォーの最後で出てきた改造したポケベルを渡し、スクラル人と共にがスクラル人が安全に暮らせる土地を探しに旅立つ。フューリーは宇宙の驚異に備えるためにアベンジャーズ計画を考えるところで作品は終わる。

大活躍のニック・フューリーとコールソン

 主要人物として物語に深く関わったニック・フューリー。アベンジャーズでは凛々しく尊厳があり、大変真面目な印象受けるフューリーでしたが、本作では人間味が強く本当に同一人物なのか疑うくらいのはっちゃっけぶりでした。特に猫の見た目をしているフラーケンのグースに対しての態度は笑ってしまいます。ただの猫じゃないと判明したあとも動揺しつつ可愛がっているのも面白かったです。片目を失った理由もグースをしつこく触っていたら引っ掻かれて失明というのがしょうもなくて(笑)。最後にコールソンに「宇宙人に尋問されたときに秘密を答えなくて片目を失った」とかカッコいい理由にしてたのも面白いです。

 コールソンに関してはシールドに配属されたばかりの新人という扱いでは有りましたが、基地でキャロル達を捕まえにシールドが来襲した際には、上官の命令に背いてフューリーを逃したのは流石だなという印象、ファンには熱い展開で美味しい役でした。

エンドクレジット後の映像

 エンドクレジット後はアベンジャーズ本部で絶望するキャップやソーの前にキャプテン・マーベルが現れて神妙な顔で「ニック・フューリーはどこ?」と聞いて終わりました。4月に公開されるエンドゲームに繋がる重要なシーンでしたので、エンドゲームを見る方は観ておかないと気付いたら合流してるということもありえるかもしれません。