感想

4DX版『バンブルビー』感想 ※ネタバレ注意

 マイケル・ベイ監督の映画『トランスフォーマー』5部作より以前の物語、1987年のカリフォルニアが舞台の『バンブルビー』を4DX吹替版で鑑賞してきましたのでレビューになります。

※映画バンブルビーの概要は上記で確認ください

4DXについて

 4DX映画は上映されている映画館も限られているため、どういったものなのかご存知無い方もいらっしゃるかと思いますので簡単に説明すると、2Dや3D映像に五感を刺激する動きを追加したものが4DXと呼ばれ、座席が動く、水しぶき、風、匂い、雨、煙、閃光などといった効果が映画と連動し発生するのが特徴です。

※4DXの疑問点はアクアマンの体験レビューにまとめてあります。

4DX版バンブルビーは想像以上の面白さ

 鑑賞前はロードームービーというかボーイ・ミーツ・ガール的な青春映画にトランスフォーマー要素が入るのかな?とアクションにはあまり期待していませんでした。実際に鑑賞してみると冒頭のセイバートロン星でのアクションシーンで一気に引き込まれます。トランスフォーマー達の重量感ある激しい戦いに合わせて4DX効果で椅子が動くので迫力があり、映像の説得力が増しています。特にディセプティコンの兵士が戦闘機になって重低音を鳴らし飛行するシーンでは、椅子の振動や動きで戦闘機に乗っているかのような動きを味わえたので没入感がすばらしかったと思います。

また、ビーが地球に到着し、それを追いかけてきたブリッツウィングとの激しい戦闘やクライマックスのビーとシャッター達の激しい戦闘も例外ではなく素晴らしい迫力です。やはり音量だけの迫力とは違い衝撃の演出をできるのが4DXの素晴らしいところだと思います。

 アクションの他にも今作は1987年台と言うことや、バンブルビーが喋れない代わりにラジオの音楽で会話したりするため、80年台のザ・スミス、ハワード・ジョーンズらを始めとした名曲がちょくちょく流れます。椅子の振動効果などで全身で音楽を味わうことができるので、思わずリズムを刻みたくなるような素晴らしさでした。

 4DXではトランスフォーマ同士の重量感のある戦闘シーンの迫力、80年台の名曲を全身で感じられるというのが特に良かったと思います。少女の青春と言う要素が強い作品ではありますが暇に感じる時間帯も特になくトラヴィス・ナイト監督のまとめ方の旨さが際立っている一作でした。

バンブルビーの評価

 本作はマイケル・ベイ監督の『トランスフォーマー』4作品があまり好きではない方にこそオススメしたい作品でした。私はマイケル・ベイ監督のトランスフォーマーは全作観てはいますが、壮大ゆえにシナリオが雑なところや、映像はハイレベルだけれどもゴチャゴチャしてしまい見づらいと言った点があまり好きではありませんでした。でも『バンブルビー』はどうでしょうか。チャーリーとバンブルビーの友情、メモとの青春、オートボットの拠点として地球を死守するバンブルビーという分かりやすい背景です。異星人との出会いと戦い、ボーイ・ミーツ・ガールを一作で上手く楽しめるようまとめられているため、大変見やすい作品でした。

ストーリー詳細 ※ネタバレ

 セイバートロン星ではディセプティコンとオプティマスプライムをリーダーとしたオートボット反乱軍による戦争が繰り広げられていました。オートボット反乱軍は戦争に負け脱出ポットで色んな惑星に逃走を図ります。そんな中、バンブルビーはオプティマスに地球という星に逃げてオートボットの拠点を確保しろという司令を受け脱出します。オプティマスはオートボットの脱出が終わるまでセイバートロン星に残り激戦を繰り広げます。

 一方1987年のアメリカの山岳地帯でバーンズ率いるアメリカ軍の戦闘訓練が行われていました。森林内で訓練が一段落終えると、空から炎の塊が落下してきてアメリカ軍の部隊が衝撃で負傷します。バーンズはミサイル攻撃と勘違いしますが、友軍に問い合わせるとどこからも発射されていないと言う返答しか得られず混乱していると、落下地点からバンブルビーが現れ逃走を始めます。

 バンブルビーが逃走を始めるとアメリカ軍から攻撃命令が下され逃走戦が始まる。バンブルビーは人間をなるべく傷つけないように木を切って道を塞いだりと努力して逃げます。しかし鉱山のような場所に差し当たり行き止まりに辿り着く。そこでバーンズの部隊に追い詰められる。バンブルビーは「君たちを傷つけるつもりはない」と言い交渉を試みるが、一体のディセプティコンの兵士ブリッツウィングが現れる。

 ブリッツウィングは戦闘機の姿で人間もろとも激しい攻撃をバンブルビーに仕掛けてきます。人間の部隊はほぼ壊滅、バンブルビーとの戦闘が始まります。バンブルビーと手に汗握る激闘の末にブリッツウィングが優勢になり、首を掴み宙に浮かせ尋問を開始します。どうやら反乱軍のリーダーであるオプティマスプライムを探している様子、しかしバンブルビーは居場所を吐かず、声帯を取られ喋れなくなってしまいます。トドメを刺されそうになったところで相手のミサイルを相手にカウンターで挿し込み勝利します。そして瀕死のバンブルビーはその場から離れ川の畔に辿り着きます。そこで記憶回路がやられシャットダウンするのですが、最後に見かけた黄色いビートルに変身して眠りにつく。

 そして、舞台は変わり本作位のもうひとりの主人公、少女チャーリー・ワトソンの話に物語は移る。1987年のサンフランシスコ郊外にある海沿いの街に暮らすチャーリー。心臓発作により最愛の父親を失って悲しみから立ち直れずに暮らしていました。彼女は父親の影響もあり、毎日ガレージにある父親のコルベットを修理し動くようにしようと生活を送っていました。

 母親は悲しみから立ち直るため、明るい家庭を築くためにロンと再婚。チャーリーはそんな状況も認められず苛ついた日々を過ごしていました。チャーリーは車を直すために遊園地でアルバイトをしており、クラスカーストの高い知り合いに馬鹿にされたり、失敗したりと最悪な状況にいました。そんな中18歳の誕生日を迎え、両親達からプレゼントを貰うも期待していたものとは違い落ち込んでしまいます。

 いつも通っている自動車整備会社に行き、店主であるハンクおじさんの廃品置き場でコルベットの修理材料を探します。探していると黄色いボロボロのビートルを見つけ気に入るチャーリー。ハンクおじさんに「色々やなことばかりの18歳の誕生日だったの。社員として働くし、何でもするからあのビートルを直せたら私にちょうだい」と無理を言うと、ハンクおじさんは「その必要ない、誕生日おめでとう」と快くチャーリにビートルをプレゼントします。

 そして、見事にビートルを修理し自宅のガレージに持ち帰る。しかし、突然車から部品が落ちる。焦って車の下に入り込み整備しようとするとバンブルビーが起動する。トランスフォームして人間の姿になり、バンブルビーは怯えた様子。そこでチャーリーはバンブルビーに優しく接し敵意はないと伝えお互いに心を開いて行く。ここで初めてチャーリーが蜂っぽいビートルという事で「バンブルビー」と名付け匿うことに。
※バンブルビーと名付けられる前はB127が名称、以後ビー呼びで書きます。

 次の日にビーに乗り森林の中に散歩にでかけるチャーリー。森林の中でビーが胸部を気にしているため、直してあげようとする。そうすると、オプティマスプライムからのホログラム通信が流れ、ビーとチャーリーは何故ビーが地球にいるかを知ることに。

 ガレージに戻りビーのオーディオ(ラジオ)ユニットを取り替えて修理してあげるとビーは色々な音楽を聞き始めます。チャーリーはビーと色々な音楽聞き盛り上がっていると、チャーリーの思いを寄せる近くの家に住む18歳の男の子メモがやってきます。そしてビーの存在がバレてしまいます。絶対に周りには内緒と言う約束をし、二人の青春が始まる。

 後日、ビーとメモとドライブをしていると、ビーがメモの言うことに合わせてラジオを変えて、音楽の歌詞で反応している事実に気づきます。こうして、ビーは声帯の代わりに音楽で喋るようになります。

 その頃、政府極秘機関セクター7は地球外生命体の存在を感知し、バーンズは地球外生命体を捉えるために、郊外の道路で隊を率いて待ち構えます。そこに現れるのはビーを探しにやってきたディセプティコンの兵士、ドロップキックとシャッター。「B127はセイバートロン星から逃げ出した犯罪者」「犯罪者が見つからなければ地球は火の海になる」「地球は原始的だが張り巡らせた情報網を貸してくれれば見つけることは容易だから協力してほしい」とセクター7にシャッターが問いかけます。セクター7はディセプティコンに協力し、ビーを捜査することにする。

 ある日、バイトに行って留守にするから家で静かにお留守番してねとチャーリーに言われるビー。ビーはお留守番中に家で飼われている犬につられて家をメチャクチャにしてしまう。コンセントで感電してしまい、エネルゴン反応を強く発信してしまい、セクター7に居場所がバレてしまう。

 メモから連絡を受けて急いで自宅に戻るチャーリーは、家がメチャクチャになっていることを知る。呆然とする中、両親と弟が帰宅し激怒、ここでチャーリーも母親に色々言われて思いが爆発。言い合いの末にとりあえずバンブルビーを隠すためにメモ&ビーと家から出る。

 家を出てドライブしていると待ち伏せしているセクター7に出会う。危険だから車から降りてビーを引き渡すようにバーンズに警告を受けるが、悪い子じゃないと擁護するチャーリー。ビーは危険を感じてチャーリーを抱きかかえ山道を逃走する。その先でドロップキックとシャッターが現れ、捕獲されてしまうビー。拷問を受けるとオプティマスプライムからのホログラム映像が流れ、地球で合流する旨のメッセージが流れる。ディセプティコンの二人は仲間を呼び寄せてオートボットを殲滅させるために通信塔へ向かう。

 そのころチャーリーとメモはビーを救い出すために、囚われている空軍基地に潜入します。そこで機能停止するビーに出会い、チャーリーは軍のスタンガンをビーに放ち再起動に成功。このときビーの記憶も戻り始めます。ビーはチャーリーに「行ったら殺されるから行かないで」と言われるが、行かなければ仲間が殺されると伝え通信塔を目指すことに。

 しかし、そこにセクター7が立ち塞がりビーを排除しようと攻撃を仕掛ける。チャーリーが兵士に捕まり手荒な扱いを受けるとビーの目が赤色に変わり、人間に向けて右腕のエネルギー武器で人間を攻撃し始める。人間を撃退したビーはチャーリーに静止され怒りが静まる。そして、通信塔を目指す。

 メモは基地に残り、来た軍人を足止めするよとチャーリーに伝えて基地に残るが、ビーを追跡するのに必死な車両4台にシカトされスルーされる。ビーとバーンズ率いる車両4台とのカーチェイスが始まるも、チャーリーを追いかけてきた家族、特に車を運転する再婚相手のロンの奮戦により、車両4台の足止めに成功する。

 通信塔に辿り着くとビーはチャーリーを安全な場所に起き、ドロップキックとシャッターとの決戦を始める。ドロップキックとビーの戦いは互いにトランスフォームを活かした一進一退の激しい戦いだった。ドロップキックが戦闘ヘリにトランスフォームし、ビーを追い詰めるが、落ちていた鎖をビーに投げられ全身にから回る。人型になって破ろうとするもバラバラになって死んでしまう。

 一方でシャッターは通信塔にて、援軍を呼ぶためにデータを送信しようとしている。そこにトランスフォーマーを全員撃破するべく戦闘ヘリに乗ったバーンズがシャッターを攻撃して倒そうとする。シャッターは子供をあしらうようにヘリを撃墜させ、バーンズは墜落して死にそうになる。しかし、ビーがヘリを受け止め九死に一生を得る。

 どさくさに紛れて通信塔で通信装置のコアを抜き取るチャーリー、激高してチャーリーがシャッターに撃ち殺されそうになったタイミングでバンブルビーが駆けつけシャッターと戦闘が始まる。戦いはシャッターが有利に進んでいたがバンブルビーが機転を利かせ、相手を後ろから羽交い締めにし、決壊して流れ込む水圧によってシャッターを潰して勝利する。
※戦っている所が大型船舶を整備するドッグ

 そうして無事にディセプティコンを排除したビーだったが、バーンズがビーとチャーリーの前に現れる。バーンズは自分の命を救い、敵じゃないと証明したビーに敬意を評し「早くこの場から立ち去れ」とビーを見逃します。そして、ビーとチャーリーは無事に危機を乗り越えて帰宅。翌日に、海と街を見渡せる丘でチャーリーはビーと一緒にいることを諦めお別れを告げます。ビーはオプティマスプライムとの使命を完遂するためにカマロにトランスフォームし、ラジオで「僕のことを忘れないで」とお別れの言葉を抜けて音楽と共に陽気に走り去っていきます。

 ビーと別れ家に帰ると、メモが待っていていい雰囲気の二人。手を繋ごうとすると「私達にはまだ早いよ」と言い青春の空気をだして終了します。

 Cパートではオプティマスプライムと合流したバンブルビーが、オプティマスに褒められ、空から落ちてくる数体のオートボットと言うシーンが流れ終了します。