映画

本当の悪は笑顔の中にある、批評家も絶賛する映画『Joker』は10月4日に公開

 アメリカのDCコミックでバットマンの宿敵として登場する悪役ジョーカー。本作は彼がなぜ悪の道に堕ちたのかを掘り下げた作品となっている。現在展開されているDCシネマティックユニバースとは関係のない完全な単独映画となっているため、シリーズを知らない方でも見やすい作りになっている。また、8月31日のベネチア国際映画祭で放映された際には絶賛の嵐であった。映画『Joker』は10月4日に公開される。

母の教え「どんなときも笑顔で」

 心優しいアーサー(ジョーカー)は母親と貧しくも二人で楽しみながら暮らしている様子。アーサーは幼い頃から母親から「どんな時も笑顔で」と言われ育ってきた。そんな彼は自分の使命は人を笑わせることだと思い、人々を笑わせるコメディアンになることを夢見ているようだ。バスの中を移動している際も、退屈にしている子供に向かって顔芸を行い、楽しませる彼の優しさが見受けられる。

ピエロの格好で働くアーサー

 人々を笑顔にするためだろうか道化師の格好でピアノの演奏に合わせ、楽しそうな雰囲気で売り切りの看板を掲げるアーサー。しかし、不良少年たちに目をつけられ看板を奪われてしまい、看板を取り戻すべく追いかけて、追いついた先でピーターは暴力を振るわれ路上に倒れ込んでしまうのであった。彼は人の悪意に触れ始める。

希望に陰りが見え始める

 ある日、母親の体調が悪化する。酸素吸引器をつけ、点滴を受けるほどの危篤状態なのか重苦しい雰囲気に。そんな中、TV番組で大物コメディアンが何かを言うとアーサーはTVに釘付けになる。そこにはコンテストか何かでコメディアンとして活動したときの自身が映し出されていた。TVに映る自分の姿を見て本当に嬉しそうな笑みを浮かべる。次に大物コメディアンが映し出せれ、喋りだした内容を聞くと一転し、怖い表情になってしまう。

アーサーに起こる変化

 夜の街をどこか寂しげに歩く姿や、半裸で座りながらギチギチと何かを触る姿、また下を向き何か葛藤する様子、他人の芸を見て不自然なほど大きな高笑いを浮かべる。

 顔にピエロのメイクを施しながら涙を流して指で無理やり笑顔を作るアーサー、その後の話なのか電車で一人でに大きく笑い出し、同乗していたサラリーマンたちに殴られるなど、普通ではない行動の数々。殴られたあとになにかに駆られるように夜の街を疾走するアーサー。明らかに彼のメンタルに大きな変化が起こり狂気を帯びてきた。

街にも事件が起こる

 何やら社会ではピエロの仮面をつけた人々が出没し始めている様子。地下鉄での暴力事件の際にもピエロの仮面をつけた人々が映し出され、その乱闘の場にピエロの仮面を置いて静かに立ち去るアーサーの姿があった。このピエロの仮面の人々は、変化したアーサーに煽動された人々なのかもしれないが詳細は不明だ。

見え始めるジョーカーの影

 自信の髪を強張った表情で緑色に染め上げるアーサー。その顔からは信念のような強い決意を感じるほどだ。徐々にジョーカーとしての特徴が完成されはじめ、彼が一番最初に行うこととは?

大物コメディアンが取り仕切るTV番組に登場

 TVで自分を馬鹿にした大物コメディアンの番組に、ジョーカーの姿で出演するアーサー。楽屋でタバコを咥え何やら考え込む姿も。ジョーカーとして覚醒しているなら番組中に大物コメディアンを殺しても可笑しくはない。

完成するジョーカー

 トレーラーの最後には圧倒的な貫禄を持つジョーカーの姿が確認できる。心やしい一般人だったアーサーが完全に変貌している。彼がここまで変化してしまった原因は一体何なのかは劇場で確認するしか無い。

バットマンファンには気になる演出も

 作中ではバットマンことブルース・ウェインの幼少期も映し出され、ジョーカーと出会うようだ。その他にもゴッサムシティの市長選に、ブルースの父親であるトーマス・ウェインが登場する。原作では市長を毒殺したこともあるため、トーマスがジョーカーに殺され、ブルースと深い因縁が生まれる可能性もあり、ファンには気になる展開になりそうだ。

知っておきたい原作ジョーカーの人物像

 バットマンの宿敵として登場することが多く、ゴッサムシティを拠点とするヴィランであるジョーカー。彼はスーパーパワーは無いが、高い知性により人を貶め破滅させる歪んだユーモアを持つ冷酷なサイコパスで、退屈な社会に飽き飽きしている。彼にとっては犯罪はユーモア、つまりジョークなのだ。信念や理念のためにヴィランになったのではなく、自分が楽しむため、つまりは純粋な悪として存在する彼の姿はある意味でのカリスマ性を放ち多くの人間を虜にしている。

 近年では2008年に公開された映画『ダークナイト』で俳優ヒース・レジャーが演じ大反響を呼んだ。悪の塊として描かれ、狂気を感じさせる姿には多くの人が惹きつけられるほどであった。