感想

IMAX版『ゴジラ キングオブモンスターズ』感想や過去作からのオマージュなど ※ネタバレ注意

 モンスターユニバース3作目にあたる『ゴジラ キングオブモンスターズ』、4体の怪獣が大暴れ!と言う分かりやすくビジュアルでデザインが洗練された最高のエンタメ映画をIMAX方式で視聴してきましたのでその感想になります。

※映画の概要は上記で確認ください

IMAXとは?

 映像・音響・空間の映画を構成する3つの要素を極めた上映方式のことで、床から天井、左右まで広がる巨大なスクリーン、体に響く大音響から囁くような小さな音も聞こえるように理想的なリスニング環境になるように設置された音響設備、従来の上映システムよりも1.6倍も明るく、高性能デジタルプロジェクター2台による投映により繊細かつ鮮やかな映像を移すことを可能にした上映方式です。

IMAX版『ゴジラ キングオブモンスターズ』圧巻の映像美

 1作目の『Godzilla』はとにかく映像が暗いという欠点があり、本作もトレーラーを見る限り暗そうなシーンが多そうだったので、通常の上映方式よりも1.6倍も画面が明るいIMAX方式で観賞してきました。

 怪獣たちやエフェクトもすべてCGのため、とにかくIMAX3Dによる違和感のない立体感と繊細な映像、体の芯まで響く音響設備によりど迫力な怪獣たちの咆哮と破壊の音を体験することが出来て最高のエンタメ作品に仕上がっていました。

 心配していた暗いシーンもIMAXではメリハリも付いて見辛いと言うことも特になく、むしろキングギドラの雷と引力光線、モスラの神秘的なオーラ、ラドンの燃える翼と溶岩にも耐える硬皮、ゴジラの咆哮と激しい熱線、その全てが最高の映像美で味わうことが出来て最高に満足です。

 特にシーンによっては神々しさすら感じ、絵画の様なシーンも多く存在する今作は通常の方式で見るのは勿体無いと自信を持って言えるほどでした。

『ゴジラ キングオブモンスターズ』の評価

 今作のゴジラは子供のときに映画館で見たワクワク感を思い出させてくれる素晴らしい作品に仕上っていて、ゴジラ好きにとってはNo.1作品になりえる圧倒的スケールの映像と音楽でした。特に日本のゴジラファンには嬉しい過去のゴジラ作品へのオマージュが作品の随所に見られるのも嬉しいです。

 見どころでもある怪獣同士の戦いは、1作目『ゴジラ』や2作目の『キングコング 髑髏島の巨神』より大幅にパワーアップしていて、まさに大災害で人間が止められるレベルではないのが表現されていました。

 それぞれのモンスターの魅力が存分に表現されていて、4怪獣の中でも嵐を操るキングギドラや光を放つモスラは神秘的かつ神々しくオーラが物凄い。ラドンは能力はシンプルですが、キングギドラよりも大型生物が飛来する怖さを見せてくれました。飛ぶだけで街を破壊し、戦闘機を意図も容易く破壊していく様は圧巻です。ゴジラが復活するときにメインテーマが流れ空へブレスを放つ演出は胸が熱くなる素晴らしさ。

 しかし、この映画には明確に向き不向きがあります。映画に納得のできるヒューマンドラマや科学的整合性を求める人は本作を見るとがっかりするかもしれません。逆に本作のトレーラーなどを見て、怪獣映画であることを理解し、大暴れするモンスターたちを見たいと思った方には至高の一作になります。何よりも、1作目『Godzilla』を見て物足りなさを感じたり、『シン・ゴジラ』を見て怪獣成分が足りないと思った人にこそオススメしたい映画です。

 ゴジラを地球の防衛機能・秩序を守るものと位置づけし、決して人類の味方というわけではないと言う風にしっかりと伝えていたので映画を見終わった後はマイケル・ドハティ監督が生粋のゴジラファンだったことが感じられ、一人のゴジラファンとして感謝と心からの賛美を送りたい気持ちになりました。

この映画は必ず映画館で見てスタッフロール後の映像も見ることをオススメします。

随所に見られる過去作オーマジュやゴジラ愛

BGM

 登場した怪獣4体にはそれぞれ個別のテーマ曲が容易されていましたが、その中でもゴジラとモスラに関しては本家である日本のテーマ曲をアレンジしたものになっていました。

 ゴジラのテーマ曲は「ゴジラ、ゴジラ、ゴジラがやって来た」に聞こえキャッチャーで記憶に残りやすく、ゴジラが好きでなくとも人生で一度は聞いたことがあるほどメジャーな曲です。モスラのテーマ曲は小人の女性二人組が歌っていた「モスラの歌」がハリウッド版でもアレンジされて採用されていました。

音楽を担当したWaterTowerMusicが公開したメイキングの様子

芹沢博士関連

 元々が初代ゴジラ(1954年)の芹沢大助という科学者のオマージュでもある芹沢博士(演:渡辺謙) 。芹沢博士だけは終始一貫してゴジラの発音がしっかりと日本読みであったり色々と日本版ゴジラをリスペクトしている場面が多くありました。

 特に監督のゴジラ愛を感じられるシーンとしては、ゴジラがオキシジェン・デストロイヤーと言う新兵器でギドラ諸共攻撃されて瀕死に陥るシーン。その後、ゴジラに核を撃ち込み復活させる話になり、諸事業で一人がゴジラの近くまで運び起動させる流れになりました。その役をかって出た芹沢博士はゴジラに「さらばだ、古き友よ」と言い残し爆発とともに死亡し、ゴジラを救いました。

 実はこのシーンには初代ゴジラ(1954年)のオマージュになっていて、初代では芹沢大助という科学者がオキシジェン・デストロイヤーを発明し、平和を愛する芹沢はゴジラの驚異から平和を守るために、これを使って自らが死にゴジラを完全抹殺に成功するのです。

 つまりは、初代ゴジラでは芹沢はゴジラを殺してしまうが、キングオブモンスターズの芹沢博士はゴジラを活かすために死んでいくという真逆の行動をするということです。この展開は監督が生粋のゴジラファンだからこそ組み込まれたものなのです。

怪獣関係

ラドン

 実はマイケル・ドハティ監督一番のお気に入りと言っていたラドン。ゴジラVSメカゴジラではある卵をゴジラと争い敗北し、体が赤くなってファイヤーラドンとして生まれ変わります。熱線を吐くなどの能力手に入れなんやかんやゴジラに協力し活躍するのですが、本作のラドンはマグマの中から目覚め、体内にはマグマの血が流れ、翼膜が燃えていている様子が確認できました。色々な作品からファイヤーラドンの様な要素を組み込んでいるところもファンには嬉しい要素でした。

ギドラ

 今作のギドラは地球外から来た外来種であることが触れられていましたが、これは昭和ゴジラシリーズの設定である金星から侵略者という設定が採用されています。その他にも人に操られるというのも日本のゴジラに共通している点でもあります。※平成に作られたゴジラでは元々地球に居た在来種で守り神だったりと設定が作品ごとに変わったりしています。

モスラ

 モスラ関連としては、繭から成虫モスラが出てくるシーンでアイリーン・リン博士が立会いますが、作中でも軽く触れられていますが実はチャン・ツィイー演じる中国人の博士は双子であり、成虫モスラの登場にいたリン博士はこのときしか登場しておらず、芹沢博士らと行動しているのは姉のチェン博士の方です。

 それとモスラになんの関係が?と思うかもしれませんがモスラと言えば小美人と言われる二人組の妖精のような小人がモスラの歌を歌いモスラを目覚めさせるという一連の流れが定番です。

 今作では成虫モスラに”双子”であるリン博士立ち会いのもとでテーマ曲とともに目覚めるのは小美人が居ない代わりのサプライズになっています。

ゴジラ

 ゴジラ関係で一番に目だったオマージュになったのは、バーニングゴジラの存在です。バーニングゴジラは『ゴジラVSデストロイア』で登場し、ウラン鉱脈爆発の際に莫大な放射能を浴びたことにより全身が暴走する核エネルギーで真っ赤になった姿のことです。

 本作では芹沢博士がゴジラを復活させるために核爆発を利用したため、その影響でエネルギー過多によりバーニング化、結果的にはそのおかげでキングギドラを圧倒し勝利を収めることになりました。

次回作への伏線?

 モンスターユバース4作目は『ゴジラVSキングコング』と既に発表されていますが、クレジットの映像でも髑髏島の遺跡をモナーク機関が調査し、ゴジラとコングが戦っている壁画が映されていました。

 その他にも謎の卵(モスラの幼虫?)、キングギドラに起こされた12体の怪獣(一体は髑髏島)、海中でオキシジェン・デストロイヤーを使用したためデストロイアが誕生する可能性、環境汚染に触れていたためヘドラが誕生する可能性、スタッフロール後のキングギドラの頭を買うテロリストなど、VSキングコングだけで回収しきれなさそうな数の伏線が張られました。

 『ゴジラVSキングコング』の監督を務めるアダム・ウィンガード氏の好きなゴジラ作品ランキングは

1.『ゴジラ』
2.『ゴジラ対ヘドラ』
3.『怪獣大戦争』
4.『怪獣総進撃』
5.『ゴジラVSデストロイア』

だということなので、メカキングギドラやデストロイヤなどが乱入してくる可能性もあるのでワクワクが止まりません。2020年には公開されるので楽しみに待ちましょう。