感想

4DX版『シャザム!』感想 ※ネタバレ注意

 『アクアマン』に続くDCエクステンデッド・ユニバースの7作目にあたる『シャザム!』は呪文を唱えると子供が最強能力を持った大人に変身できるという斬新なアクション映画を鑑賞してきたので感想になります。

※映画シャザム!の概要は上記で確認ください

4DXについて

 4DX映画は上映されている映画館も限られているため、どういったものなのかご存知無い方もいらっしゃるかと思いますので簡単に説明すると、2Dや3D映像に五感を刺激する動きを追加したものが4DXと呼ばれ、座席が動く、水しぶき、風、匂い、雨、煙、閃光などといった効果が映画と連動し発生するのが特徴です。

※4DXの疑問点はアクアマンの体験レビューにまとめてあります。

4DX版『シャザム!』は光の演出がマッチ

 4DX版『シャザム!』は期待通り4DX効果が光る作品となっていました。特に今まで上映された4DX作品よりも際立っていたのが”フラッシュ”の効果です。シャザムの変身シーンや能力で起こす落雷のシーンでは劇場内も同様にフレッシュが炊かれるので臨場感を感じることが出来ます。

 また、激しいアクションには座席の振動が見事にマッチ、スーパーマン並に飛行シーンがある本作では風の演出も際立っていました。まさにアトラクションのような演出の数々で映画に新鮮さと没入感を与えてくれます。

 4DX版は吹替上映が多く、映画好きには抵抗がある方も多いのは存じていますし、私自身も『シャザム!』の吹替で俳優である菅田将暉さんがシャザムの声を担当しているということもあり不安はかなりありました。

 しかし、実際に映画を見ると声優に劣らない演技力で違和感無くシャザムを演じきっていて、個人的には心配していたほど悪くないなと思いました。ちなみに敵であるDr.シヴァナの声は声優界では有名な子安武人さんなのですが、こちらは大分ハマっていてカッコよかったです。

 4DX『アクアマン』は水の演出が特に光る作品でしたが、『シャザム!』は光の演出と風の演出が特に光る作品に仕上がっていました。DCヒーローは作品ごとに4DXの特徴が強く出ていて面白いです。

『シャザム!』感想

 本作はコメディ要素をCMでも強く打ち出していたので、コメディ重視の作品かと当初思っていました。実際はストーリーは王道で未熟な少年が家族との絆に成長し、真のヒーローに目覚めて悪の科学者(魔術師)を倒すといったシンプルな内容になっています。

 シャザムの能力紹介の仕方がヒーローとは思えないようなやり方なので絶妙なリアリティが説得力にもなってシュールさを生んですごく笑えるので、そこが本作一番の魅力斬新だったと思います。急にシャザムの能力を手に入れて大人の姿になって大混乱に陥るビリーが同じグループホームに住むフレディに助けを求め、結果的に二人でシャザムの能力を試していくことになるのですが、実験と題してコンビニ強盗にわざと銃を撃たせ耐久テスト、コンクリートを殴って破壊力をテストなど子供が遊ぶような感覚でコメディ満載で進んで行く様は本当に笑えます。

 また、子供の時は無口なビリーがシャザムになり大人の姿になると歳相応の子供のように喋ってはしゃぐギャップがものすごいです。純粋に普段は生き別れた母親に逢いたくて思いつめているので、子供の姿のときは無口で大人びて見えるのかと思います。でもシャザムの姿でいるときは現実離れしたスーパーパワーを持ってるので興奮状態で母親の事を忘れていて、そのため大人のときのほうが本来のビリーの性格が出ているんだと思いました。このあたりの表現を考えると監督・役者ともによく考えていると思います。実際に物語の終盤でビリーが母親のことを割り切ったあとは子供姿でよく喋ってますよね。

 シャザムが面白かった理由のもう一つとして、ヴィランであるDr.シヴァナ(演:マーク・ストロング)がシャザムに負けないくらい強くカッコいい所にもあると思います。性格面では子供の頃に魔術師に出会い選ばれなかったことがコンプレックスで、力を求めたところが清らかな心を持っていない証拠でもあるのですが、その後ずっと同じ場所に辿り着くために数十年研究し続けるところは一途である意味純粋な心を持っている人物で人間味も強く感じるポイントでもありました。

 Dr.シヴァナの能力は七つの大罪を身に宿すことによってスーパーパワーを発揮するのですが、体の中に1体でも七つの大罪を宿していないとただの一般人と同じ強さというのも分かりやすく、一体でも宿していればシャザム並に強いので常に数の暴力で優位でした。どうやって倒すのかなと思ったらシャザムの力をグループホームの家族(孤児)5人に分け与え同じように数で対抗する流れはちょっと予想外で斬新でした。もともと原作でもフレディがシャザムになれたりするので原作と同じ様な流れではあるようです。

 物語の終盤に次回作の存在、もしくはジャスティス・リーグなどで他のヒーローとの共同作品が作られる可能性が強くアピールされていました。最後にDr.シヴァナが刑務所内で壁に魔術語で太陽神ラー、ソロモンだの色々言いながら書いていて、謎の声がシヴァナに「魔術に至る道は一つじゃない」と呼びかけていましたね。次回作でドウェイン・ジョンソンが演じるブラックアダムと言うエジプトの神々の力を宿したシャザムにとって最強の敵が現れることを示唆していました。映画公開前にも情報があったので間違いないと思います。

 アクアマン同様に今後のDCワールドの広がりに期待を持てる一作でもあり、単独作品としても出来ているので、ヒーローアクションが好きな方に是非オススメしたい一作でした。